医療はいまや経済再生の牽引力として認識されるようになった。長い間不況業種として扱われ、資金調達もままならなかった医療経営者にとっては、心底から元気づけられる現象である。しかし医療制度改革のもとでの病医院の経営改善は複雑多岐にわたる。いま病医院の経営者が求めているのは、クリアカットで実践に富んだ知識・情報であろう。これら経営者のリーダーシップを高めるために、本書は企画された。本書は、患者の視点に立った医療サービスと事業展開を軸に、経営の要である人材開発、財務分析、コストマネジメントの3要素に新たな光を当て、患者・第三者の評価に耐えられる経営と、患者安全を新たな課題として取り上げた。事例には、全国に知られた大病院ではなく、地域住民に身近かな存在の中小病院12施設を取り上げ、経営改善のイメージを鮮明にした。本書は厚生労働省の3年度にわたる医療施設経営安定化事業の成果をもとに、経営の質を高める新たな「知」を加えて誕生した。理事長・院長は文字どおり経営改善のハンドブックとして、また幹部職員は経営管理の実践の書として、さらに経営コンサルタントは経営指導のツールとして活用いただけるであろう。

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