在庫管理についての考え方は、マネジメントのなかで大きく変化している。
　本書では、従来のように在庫を経営資源の１つとして適切に管理するという狭い範囲の目的で捉えるのではなく、在庫を出現させているシステムのあり方も含めて検討対象にするなど、広い範囲での捉え方が必要になってきていると強調する。
　在庫は経営システムの体質を強化するマネジメントのための手掛かりであり、まさに問題発見の坩堝となっている。　もうひとつ、本書全体の特徴的な考え方としては、不確実性への対処法について注目し、その視点を取り入れたことである。予測通りに事態が推移するような場合には計画主導で行動を進めた方が効果的だが、不確実性が高いような場合には事態の推移を見ながらそれに合わせて行動していく方がリスクを避けることができる。
　本書では、このような選択的な視点が、在庫システムのマネジメントに重要な手掛かりを与えてくれるばかりでなく、発注方式の設計にも肝要な知見を提供してくれるものと考えている。

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