【2分野セット】未来予測レポート2012-2025

田中栄 著 

330,000円

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内容紹介

エレクトロニクス・ICTの進化が、医療・農業を根底から変える


 2011年、世界の人口は70億人の大台を突破した。人口が50億人を超えたのは1987年で、団塊世代が生まれた1950年時点では、世界人口はわずか25億人に過ぎなかった。たかだか60年のあいだに、25億人だった人口が70億人まで増えたのである。国連では、2050年時点では92億人を超えると予測している。
 核戦争や死亡率が高い新たな病気の世界的流行といった突発的な重大事象がない限り、人口予測は高い確度で当たる。つまり、確実に予見できる「未来像」といえるだろう。
 この、世界人口の急増という近い将来に必ず起きる変化は、産業や経済はもちろん、政治や人々の暮らしまで、世界中のあらゆる分野に重大な影響を及ぼす。そのなかにあって、間違いなく深刻化するであろう問題の一つが「食料不足」だ。人口が増えれば、それだけ多くの穀物を消費することになる。その対応さえ極めて難しい問題なのに、さらに問題を深刻にする変化が起きつつある。食肉需要の急拡大である。
 我々は、肉を好んで食べる。一般的傾向として、豊かになればなるほど穀物より肉類を多く消費するようになるようだ。このため、生産される穀物の多くは、牛、豚、鶏のエサとなる。畜産物1kgの生産に要する穀物量は、農林水産省の試算によれば、牛肉で11kg、豚肉は7kg、鶏肉は4kgという。つまり、牛肉を1kg生産するためには、その11倍の穀物が必要になるのである。
 この、大量の穀物を消費する食肉の需要が、10億人を超える「人口大国」である中国で急拡大している。もう一つの人口大国であるインドでも、経済発展に伴い食肉需要が高まっていくだろう。その結果として起きるのは、深刻な穀物不足と、それを起点とする食料不足である。
 このことは、現在の食料供給体制が破綻することを意味している。農業、漁業、畜産、食品加工、流通など、食品にかかわるあらゆる産業分野がこの洗礼を浴び、抜本的な改革を迫られることになるだろう。


 世界的な人口の増加と新興国の経済成長に伴って、近い将来、食料需要はひっ迫する。その危機を乗り切るため、関連産業は、大胆に変貌を遂げていくことになるだろう。
 カギとなるのは、エレクトロニクス・ICT技術とバイオ技術の大胆な導入である。これまで蓄積してきた技術に、二つの先端技術組み合わせ、新たな技術体系を構築することに成るだろう。その結果として出現するのは、高度に装置産業化した、次世代農業、次世代食料産業といえるものであろう。
 農業や漁業の分野では、植物工場や陸上養殖が積極的に導入され、装置産業化が進む。植物工場と陸上養殖を融合した「アクアポニクス」と呼ばれる事業形態も登場する。植物工場の利点である、高い安全性、安定した供給能力などに着目し、この事業に乗りだす企業が急増するだろう。
 畜産分野では、排泄物にも注目が集まる。これを新たなエネルギー源ととらえ、再利用する試みが始まっている。この技術が確立できれば、畜産はもはや家畜を育てる産業ではなくなる。
 食品加工分野では、微生物の工業的利用が進む。複合化技術も進展し、これらを使ったに安価な合成食品や新食材が量産できるようになるだろう。
 流通分野では、ダイレクト通販、One to One取引が急拡大する。食の流通革命が起きるはずだ。
 こうした変革を強力に牽引するのが、エレクトロニクス・ICT技術である。先端技術の導入は、設備産業化を促し、農業、食料生産などの実態を手工業的な家業から企業主体の工業へと変貌させる。設備導入や先端商品の開発には、大きな投資を必要とするからだ。知恵や経験だけでなく、先端技術を貪欲に取り入れる力と大きな資本力が必要になるのである。
 そのことが、業界統合の動きを加速させ、同時に事業領域の拡大をもたらす。ビジネスチャンスを求め他業種の参入も急増するだろう。そして近い将来、農業・食品産業は現在の姿からは想像すらできない「トータル・サービス産業」へと変貌を遂げるはずだ。

セット内容

商品詳細

発行元
日経BPコンサルティング
発行日
2012年3月20日
ISBN
9784901823906
ページ数
約 290
サイズ
レポート、未来年表、CD-ROM
原著者
田中栄